三枚のCD

 

2023年8月23日。

ねちっこい雨が肌にまとわついて降っています。

連日の残暑(なのかもう?)も加勢して自分の体力もかなり限界ラインに押されぎみです。

肩がこる、背中が痛いは茶飯事で、そのうえ小さなことにイライラしたり落ちこんだりといったことが一日のメインディッシュみたいに畳みかけてきます。寝るときはいつも、コナンくんの代表的小道具「腕時計毒矢」に刺されたかのように“落ち”てしまいます。気絶後の寝言でなにを話しているのやら。知るすべもありません。

みなさんもご自愛ください。

 

今日は仕事が休みで、いつものように昼から家を出て、電車に乗り、中古レコード屋に行きました。CDを買うのとお昼ご飯を食べる。

 

最近あったこと。自宅のオーディオを新しくしたのです。

ONKYOのコンポで、型番はFR‐7GXです。もちろん中古。

新しく迎え入れたコンポさん

けっこう良い音なんじゃないかと、あまりオーディオに明るくない自分には思われます。直感的にね。

輪郭がほどよくぼやけているのでCD特有の”聴き疲れ”現象を引き起こさないし、アルバム一周くらいは余裕で走れます。

今まで使っていたスピーカーはQUINTET 506WALTZ(モニタースピーカー)だったのですが、最近はPCDJをやることもなく、ただただ、スマホにつないで音楽を流すという、もったいない使い方をしていました。

一方で、CDは昔から今も買っているし、たまに貰ったりなんてこともあって、CDを聴けるオーディオが欲しいと思ったのです(昔は実家にCD用コンポがあったのですが、一時期の一人暮らしのあいだに雲隠れされていました)。

オーディオも新しくして、CDをゆっくり楽しむ時間をもてるようになりました。

 

で、最近購入したCDは、こちらの三枚です。

ひとつずつ感想を言っていきたいと思います。

①JANET KAY  1991  LOVIN’ YOU‐BEST OF J.K. 

JANET KAY LOVIN’ YOU‐BEST OF J.K.

 アルバムタイトルにもなっているLOVIN’ YOUがもともと好きで買いました。

 LOVIN’ YOUは初めて聴いた彼女の曲で、それもたしかThe Definitive Hits Collection(1977-1985)のバージョンで、もっと煙たく、そして空間的なひろがりを感じるサウンドが特徴だったように思うんですが、こちらのアルバムの方はそんな気配はすっかり晴れています。JANET KAYの歌声がすうっと正面からのびるようにやってきて、後頭部のはるか上までつき抜けていきます。すらりとした高音が良い感じです。うどんでいえば、前者は関東の削り鰹のスモーキーといったところで、後者はさぬきぶっかけの茹で汁感じるつるりののどごしといった風です。もちろん感覚的な話です。聴いてみてください。あながちそう遠くない比喩なんじゃないかと勝手に思っています。

 LOVIN’ YOU‐BEST OF J.K.のライナーはいとうせいこうさん。タイトルは「J. K. へのラヴ・レター」。こんな隠れたラヴ・レターを赤の他人が読んでいいのかと、なんだが照れくさくなりました。それから、いとうせいこうさんによると、LOVIN’ YOU‐BEST OF J.K.収録のLOVIN' YOUはこのアルバム用に新しく録音したようです。

 すべて雨の日に聴いたんですが、ぴったりのサウンドでした。不思議です。レゲエというと太陽をあおいで聴こうぜ、なんなら身体もゆらしちゃいなよ、というノリがあると思うんですけど、このアルバムに関しては雨の日の家のなかでも楽しめます。太陽も見ないし、身体もゆらさない。説明するのは難しいです。なんというか、屋外というより屋内の気持ちになってくるんですよね。たぶん誰にも共感してもらえないかもしれないけれど、都会の古本屋の、地下の長屋の湿気おびた壁は、白色に冷たくて、棚はといえば無頓着なジャンル分けの並び。そういう雰囲気を感じます。来る人も(失礼だけど)独居老人ばかりといった風な。そんな古本屋にJANET KAYなんじゃないかと勝手に想像しています。つまり、落ちつくということです。今日はやけに落ちついて本の活字に目を通すことができるなぁ、ってふと冷静になると、なんだJANET KAYがかかっているじゃないかっていう気づき。落ちつきたいときにまた聴きたいと思いました。

 

 

JOHN MAYER  2009  BATTLE STUDIES

JOHN MAYER BATTLE STUDIES

 二枚目は言わずと知れた現代の天才ギタリストJOHN MAYER。別にわざと二枚目に紹介したわけじゃないんですけど、ジャケットの写真映りがイケメンです。どこ見てんねんとツッコみたくなる目線、そして襟を立てるしぐさ。完璧なポージングでしょう。

 しかしこのアルバムはBATTLE STUDIESなんです。内容的にはわりと重たい話が多いような気がします。

 一曲目のHEARTBREAK WARFAREは戦闘地域から戻ってきた退役軍人の体験を想定して書かれているのでしょうか。PTSDの症状をうかがわせるフレーズもあります。実際に、JOHN MAYER自身も退役軍人のケアにかかわるような活動をしているのでしょうか、歌詞カードの最後の方のページに、「Please supprt the important efforts being made in adressing the needs of returing combat veterans by visiting:(戦地から戻ってきた退役軍人のためになされている重要な取り組みを支援してください)」と呼びかけ、アメリカ合衆国退役軍人省などのホームページリンクを紹介しています。この曲(あるいはアルバム自体が?)がそうした活動のひとつということなのかもしれません。

 「Once you want it to begin, No one really ever wins In heartbreak warfare」と明瞭にうたっています。ほんとそのとおりだよなと思いました。ロシアとウクライナの戦争も一刻も早い休戦を望みます。

 

 

SHERYL CROW  1993  Tuesday Night Music Club

SHERYL CROW Tuesday Night Music Club

 いよいよ最後のアルバム、SHERYL CROWTuesday Night Music Clubです。

 SHERYL CROWはある人から教えてもらいました。どうやらその人は、村上春樹さんがお勧めしているのを読んだ(かラジオか聴いたかで。こうやってブログに書くならそのへんのことしっかり聞いとけばよかった)みたいで、歌詞がええよぉ~とさらに僕にもにお勧めしてくれた。その曲とは、ALL I WANNA DO。

 実際に歌詞カードを手にとって、じっくり聴いてみると、たしかに面白い。

“All I wanna do is have a little fun before I die,” Says the man next to me out of nowhere. It's apropos of nothing, He says his name's William but I'm sure He's Bill or Billy, Mac or Buddy, ~

 名前もあやふやな奴、それか、ビールの飲みすぎで自分がよく聴きとれないだけ(笑)かの、まぁ要は名前なんか今さらどうでもええ奴がバーの席で急に「“All I wanna do is have a little fun before I die,”」なんて言ってきたら、ぎくりとしてしまう雰囲気が伝わってきますよね。

 そして、Billyとビールをしこたま飲んでいるうちに、気がついたら朝になったり夜になったりしていて、Billyとわたし以外のまぁ真面目な人たちはひたすら外でダットサンだとかビュイックだとかを洗車しつづけ、そういうの見てるうちに、Billyにしてもさわざわざ言わないけどさ(「I won't tell you that」)「 you're the only one」なんじゃない?、だって「All I wanna do is have some fun, I got a feeing I'm not the only one」とか思えてきたんだし、という感じで終わる。ものすごく適当なまとめだけど、雰囲気はこんな感じで出ているのかなぁと思いました。

 Billyの仕草、町の人たちの行動、バーにやってきたカップル、バーテンダーの動きなどが描かれています。そんな外部環境にやたらと「わたし」の感覚が研ぎ澄まされているのが分かります。ビールの力でしょうか(笑)。僕も「I like a good beer buzz early in the morning」な気分を味わいたいです。

 日本においてこういうテンションに最適な季節はいつかといえば、それはもう秋口なのではないでしょうか。自分はそれ一択です。

 秋が楽しみです。なんだかんだでもう少しで夏は終わります。

 あとひと踏ん張りです。では。

 

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※2023年8月29日 文章の一部を少し修正しました。

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